2009年5月23日土曜日

第5回議事録 —前編

日時:2009年5月19日(Thu)14:00-19:30
場所:桑沢デザイン研究所 7階72教室
出席:
[造形]粟野、糸長、小野、折原、公文、坂本、清水、高澤、橋本、松田

[上智]日置、秋山、椙田



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本日の机配置



教室の場所が変更されたため、机の形が変わりました。
距離的にも近からず遠からず、全員の顔を見渡せ、真ん中に資料やお菓子を置き、全体的に和みつつ自由に発言できたのではと思っています。



本日の参考資料&差し入れ


・飛び出す絵本や珍しい絵本を参考資料として持ってきていただきました。

・おーいお茶
・午後の紅茶(ミルクティー)
・ミニルマンド(チョコがとても美味)を差し入れで持ってきてくださいました。

日置さん、いつもありがとうございます。


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本日のテーマ

「地元の昔話、興味を持っている地域の神話、宗教の聖典にみられる訓話


前回から引き続きの内容です。
前回発表できなかった方、また前回の内容に付けたしという形で話し合いが行われました。




秋山さん:
「地元 御殿場の話/富士山/かぐや姫」


秋山さんからは、地元御殿場にまつわるお話。 
富士山の麓にある御殿場の近くには、足柄市の金太郎話や、かぐや姫の話、富士山が不老不死の薬を焚いた場所ということで「不死」→「富士」という名前の由来になったという話があるそう。

そんな御殿場について、今回紹介していただいたのは、「湯立神楽」という秋山さんの地元にある湯立神社にある秋祭りの話。

起源:村に疫病が蔓延、疫病から逃れるためのものだった。現在は、年に一度村に平穏と豊作を祈って祭りが行われている。

内容:煮えたぎる湯の周りで5つの舞を踊る

補足:雨乞いの意味もあり、「六根清浄」と言いながら川に入って身を清めた後、雨乞いをする。

ここで秋山さんは上智大学へ・・・お疲れ様です。
その後、「富士山でどうして不老不死の薬を焚いたの?」という疑問から、不老不死の薬はどこからきたの?かぐや姫って結局どういう話だっけ?
と、いろいろ混乱。wikiを参考に「かぐや姫」について話し合ってみました。



・かぐや姫
竹から生まれた(?)かぐや姫が月へ帰ってしまう「かぐや姫」という話は、一見ただのファンタジーに見えるが、何か道徳的に説くものや物語の性格はどうか?という疑問から、物語の種類(ex:末子成功譚)について調べていくことになった。
wikiによると(以下引用)
・竹中生誕説話(異常出生説話)=かぐや姫が竹の中から生まれた
・急成長説話=かぐやが3ヶ月で大きくなった
・致富長者説話=かぐや姫の神異によって竹取の翁が富み栄えたという
・求婚難題説話=複数の求婚者へ難題を課していずれも失敗する
・帝求婚説話=帝の求婚を拒否する
・昇天説話(羽衣説話)=かぐや姫が月へ戻る
・地名起源説話=最後に富士山の地名由来を説き明かす

非常に多様な要素が含まれているにも関わらず、高い完成度を有していることから物語、または古代小説の最初期作品として評価されている。

「異界から来た人が、地上人を救って、元の世界に帰る」という部分は、羽衣伝説と同じで中国の話が影響を与えている。また、世界でかぐや姫と似たような話をみると、アパチベット族に伝わる話はかぐや姫の起源になっているらしいことが分かった。

これは、日本にきたお坊さんなどによって伝わったのではないかという予想が立てられた。

また、推理の域を出ない話ではあるが、「かぐや姫」は藤原氏への権力批判がコアにあるのではないかという話もでた。(参考:wiki

よって、かぐや姫は、ただのファンタジーととらえるより、その時代背景と照らし合わせ、政治批判の意味もバックグラウンドに含まれていたのではないかという考えに至る。

→バックグラウンド話

ex:本当は恐いグリム童話

見ている側はどうしても表面しか見ないが、作者はそのコアとして、自分の意見である批判やダークな部分をベースとしている。
そこまで見ていくと本当の面白さがわかるのではないか。



橋本さん:「本当は恐いグリム童話/シンデレラ/白雪姫」


次の話題は、偶然繋がりよく「本当は恐いグリム童話」を橋本さんが調べてきてくれました。


本当は恐いグリム童話のシンデレラ:

終わり方がハッピーエンドではあるが、全体的に鳩がキーになっていて、「シンデレラが結婚のとき、意地悪な姉たちの目を潰してしまう」という終わり方。本人は結婚して幸せに…?

個人的に今思うと、鳩というのは平和の象徴として言われているのに、その平和の象徴で、「仕返し」というのがさらに恐怖をあおるというか、皮肉というか…


本当は恐いグリム童話の白雪姫:

こちらも最後は白雪姫はハッピーエンドなのだが、「継母を結婚式に招待して、熱く熱した鉄の靴をはかせて死なせた」…などなど。
白雪姫が仕返しをするというのもまたショックである。

「実は死体フェチの王子が死体を欲しがったため、白雪姫は王子のもとへ連れて行かれた」
これについては大分衝撃を受けたものだが、「フェチ」=「異常者」という人物設定があったものと考える。

簡単に白雪姫の内容の確認をしてみる。
http://akira-chin.com/search2.php?res_id=4365
いくら殺されても生きている白雪姫、強し。

これら本当は恐いグリム童話は、フィクションなのかノンフィクションなのかが気になるところではあるが、中には作者たちが各地で集めてきたという話もあるようだ。

また、物語の種類はどうかと考えたとき、「悪いことをやった人には天罰」というのを表現しているのかとみんなで予想。
それにしてはひどすぎる気がするが、それは文化の違いではないか?という意見も出た。

恐怖というのは、話題性があり、面白い物語になりやすい。


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ここで粟野先生より補足:

「物語の強度」

かぐや姫もシンデレラも物語の中にいろいろな要素が入っている。
かぐや姫のwiki内でも
非常に多様な要素(説話)が含まれているにも関わらず、高い完成度を有している」とある。
また、これ以上の要素を入れても物語が成立するであろう。

これは、物語の筋道が大切なのではなく、物語の人物や事柄がキーポイントになっているのではないか。




また、人物や事柄の中身が物語の強度をあげている。



登場人物という柱に強度のある物語は、いくら要素をいれても耐えられる強度をもっており、内容が広がりやすい。
また、登場人物や事柄のみが世界に広がり新たな物語が広がったりもする。


1 件のコメント:

  1. アパ族に伝わっている竹取物語に似た話しというのは
    近代になって日本の竹取物語をほぼ丸写しにて作られた話しらしいですよ。
    「トンデモ日本史の真相」という本に載ってます。

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